47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

河合隼雄に学ぶ

フロイトは、アドラーとも、ユングとも比較されているのはよく目にします。

ただ、アドラーユングとの対比は、あまりお目にかからない。

フロイト精神分析が一般的に浸透しているため、それと比較することで、アドラーの個人心理学も、ユングの分析心理学も、その特徴を理解しやすいということなのだと思うのですが。


フロイト精神分析も、キャリコンの教科書レベルしか持たない私は、上記のような比較を目にしても、表面的に違いを理解するところでとまっている気がします。


ただ比較するというのは、ほんとうに難しく、たとえば、フロイト超自我、自我、イドとユングの自己と自我にしても、何を軸にして比較するのかによって、そんなまとまりもつかない気がします。


ところで、アドラーも、ユングも、キャリコンではほとんど取り扱われることはありません。

アドラーは、最近の流行りやサビカスへの注目から多少は目にします。

ユングは、中年期の危機として取り上げられるくらいです。


キャリコンといえば、ハローワークの相談員などをイメージするように、職探しの個人と職業とのマッチング支援というイメージが強いからかもしれません。臨床心理学ではなく、カウンセリング心理学からの働きが強いように見えます。

たとえば、キャリコンの試験で国分康孝は出題されても、河合隼雄は出題されたことがありません。


ただ、サビカスのキャリアカウンセリングやナラティブセラピー、社会構成主義などがキャリコンの中でも話題とされているのを見ると、非常に臨床心理の分野に近づいていっている、そんな気がします。


もちろん、臨床心理といっても、この分野こそ、非常に幅広いのですが、私自身は、今、河合隼雄への関心がとても強くなっています。

河合隼雄は、ユング派の分析家と知られ、心理学から神話、物語と非常に幅広い著述家、特に箱庭療法の普及でも名を馳せていますが、その核は、ユングフロイトアドラーと同様、臨床家です。

カウンセリングに関する著作も多く、われわれキャリアコンサルタントにとっても、今でも非常に勉強になります。


クライエントのために何ができるかが臨床家として根本にあり、クライエントとカウンセラーとの関係性を非常に大事に考えた。

関係性を重んじたという点は、ロジャーズもそうです。ロジャーズは必要十分条件としてとてもシンプルにそれを提示した。河合隼雄もそれを評価しています。ただ、それを日本人の場合どうなのかについても考えている。そこがすごいなぁと思います。ユングについてもそうです。つまり、アメリカやヨーロッパで出来上がったものをそのまま、日本人に当てはめようとはしなかった。この点は、非常に大事なことだと思います。

そうした態度を学ぶことはもちろん、河合隼雄が残したものに立ち返ることも、相応に役に立つんじゃないか。そう思います。


物語についても、ナラティブセラピーよりは、私は河合隼雄のほうがしっくりきます。



河合隼雄の「ぼーっと聴く」

聴くということは、非常にスリリングな行為だと、つとに河合隼雄さんは指摘しています。


「死のうと思っています」


そう言われて、「はー」と返す。

ここにはカウンセラーの賭けがある。

患者の可能性に賭けているのだと。


この可能性は、患者の考えていること、感じていることよりも、さらに深いところにある。そのため、患者がことばや態度で表現することにとらわれていてはいけない。


河合先生は、細部にとらわれてはいけないと言われます。

細部にとらわれると、そのひとそのものがわからなくなる。

「ぼーっと聴く」というのは、そのひとの可能性に賭けて、そのひとそのものをわかろうとすることなのでしょう。

ここで、わかるというのは理解するということではなく、感得することだとも言われます。感心する。感激する。


「人の心などわかるはずがない」

そのように河合先生は言い切ってもいるのですが、そこでのわかるは、理解するという意味なのでしょう。

つまり、客観的に観察できる事象から吸い上げて、このひとはこういうひとだと説明可能な言語にする。それを理解するということだとすると、それは分析する、解釈するということでもある。

感得するという意味でのわかるは、そうではなく、たとえば、パッと見てわかる、そういうのに近い。ユング心理学入門」に書かれている現象学的接近法。

ここで、河合先生が着目しているのは、関係性。そこで、問われているのは、カウンセラー自身が、患者との対話で、何を感じ、何を考えているのか、ということです。つまり、患者がもつ悩みなどに対して、カウンセラーも当事者であることが強調されている。


ひとの悩みを聞いて、

「がんばってください」

というのは、当事者のことばとしてはありえない。


カウンセラーが当事者意識をもつということはどういうことなのか?


たとえば、クライエントもカウンセラーから感じ考える。ふんふんとうなづいているけれど、ビンボーゆすりをしているカウンセラーからクライエントはどんなことを感じるか?

カウンセリングとは、クライエントとカウンセラーの相互作用の営みであって、カウンセラーの一挙手一投足がクライエントに影響を与えている。それ以前に、お互いの存在自体が影響を与え合っている。

この相互作用そのものからはカウンセラーは逃れられない。

そう考えると、当事者意識が問われているというのも、その浅い、深いが問われているのだと思うのです。



木原雅子さんの出張授業

おととい、夜、何気にテレビのチャンネルを回していて、そのまま、引き込まれるように、Eテレ でこの番組を観ました。

キミのこと聞かせてよ~木原雅子さんの出張授業~

再放送のようです。

「変わったのかどうかはわからない。けれど、あの子たちが自分で自分のいいところを出せるようになってきた」

大分、延岡の中学校。
中学2年のあるクラス。
木原さんは、まず、生徒たちの話を聴くところから始めます。それも一対一ではなく、3〜4人のグループ単位。ジュースやお菓子を準備し、テーブルにはヌイグルミが置かれている。生徒たちが話やすいように気を使っている。
生徒たちの話もそのまま受けとめる。目線を生徒に合わせて聴く。
生徒たちは、先生のこと、クラスのことなど、仲間うちでしか話さないようなことを、木原さんの前で話していく。
話終わった後の女子生徒が、なんかスッキリしたと言ってました。話をしっかり聴いてもらったという充足感が、その表情からも感じ取れます。

こうした対話を何回か重ねながら、そこで聴き取ったことを解析し問題を整理し、具体的な方策を取っていく。
授業としても、思春期特有のからだやこころの変化のこと、セックスのことなどもきちんと伝えていく。
そういった、ある意味、科学的なアプローチに加え、日常的なかかわりもとっている。
木原さん自身がトイレ掃除をしている。それを見た女子生徒が自分も手伝うとスポンジでタイルを磨きはじめる。
このような日常的なかかわりのひとつにプチスタという、プリントが展開され、それを媒介に、学校の先生と生徒たちとの交流も拡がっていく。

最後には、クラスのまとまりもでき、仲間意識も生まれ、生徒たちの表情も、木原さんが介入する以前とはまるで違ってくる。

生徒たち一人ひとりが、自分で自分のいいところを出せるようになった。

木原さんは、ご自身の言葉を借りれば、そのための手助けをしたということなんだと。

支援することとはどういうことか?
ひとの自発性を引き出すためには?



アドラーからロジャーズへ

アドラーは、フロイトユングと並び、心理学の三代巨頭と言われたりもします。


ここでいう心理学は臨床心理学のことを指しているんだろうと思います。


臨床心理学の教科書にならえば、フロイトは臨床心理学を切り拓いた先達者であり、その後、精神分析のなかでも様々な流派に分かれたり、また、フロイトとの対立軸として行動分析が、そして、精神分析、行動分析とは異なる立場で、ひとの全体性に着目するロジャーズ。

臨床心理学と心理療法の歴史は、フロイトを出発点として、フロイトとの比較て整理されることが割と多いですね。


教科書上では、アドラーの名前はほとんど出てきません。

ただ、ロジャーズ以降の臨床心理学の流れも含めてみると、アドラーの影響は大きい。

論理療法やナラティブアプローチまで、むしろ、アドラーを素地に現在の臨床心理学があるのではないか?とさえ思えてしまう。

「思えてしまう」というのは、おそらく、ことはそんなに簡単なものではないと考えるからですが、たとえば、アルバート・エリスの言っていることは、その前にアドラーがすべて書いているはずはないと思います。

アルバート・エリスにもその独自性はあるからです。


アドラーの影響範囲は広いと漠然と考えるのではなく、アドラーの主要な概念を手掛かりとして、臨床心理学あるいは心理療法の歴史を振り返ってみる。そうすると、さまざまな療法家の独自性もよりよく見えるかもしれない。


てなことを考えていくと、私が、まず手始めとして考えたいのは、アドラーとロジャーズの関係です。

アドラーは指示療法、ロジャーズは非指示療法という違いはあるけれど、ひとの見方や実際の活動には似ているところがあります。


ひとの見方ということでは、人間の自発的な成長可能性にアドラーもロジャーズも着目していたという共通点は言えると思います。

アドラーには全体性という概念がありますが、ひとを包括的にみるという考えはロジャーズも持っています。


活動という点で、今、オープンダイアローグが話題になったりしますが、アドラーもロジャーズも、公開性に着目さていた。アドラーはオープンカウンセリングを行い、ロジャーズはエンカウンターグループをやってます。

逐語録の録音、公開もロジャーズが始めた。


アドラーからロジャーズへ、という流れは、これからよりくわしく確認していきたいと考えています。

今になって思う、卒論のこと

大学を卒業してからほぼ半年経ちますが、

一点、やり残した感を感じることがあります。

それが、卒論。


東京未来大学の通信課程は、卒論必須ではありません。

在籍時も、モチベーション行動科学部では卒論をやっているというひとには会ったことがありませんでした。

こども心理のひとからは、何人か、ゼミや卒論の話は聞きましたが。


3年次編入の場合、卒論を書くとすると、1年卒業を伸ばす必要がありました。

入学2年目にゼミに所属し、3年目に卒論を書くということになります。

そのためには入学1年目の途中で、希望を出す必要がありました。それも出さず、そのまま、卒業してしまったわけですが、そのときは、まあ、迷ってしまったんですね。卒論書くということの大変さに。文献を調べ、実験やら、調査やら行い、分析して、研究論文としてまとめるのは、しんどいと思ってしまったのです。


それが今になって、心のこりだと思うのは、研究手法をひと通り教わり、学ぶことは、それこそ、そんな機会は、他ではないということにあらためて気づいたからです。

卒論を書くということは、研究をやる、ということで、データの取り方や調査手法、統計解析など、スキルとして学ぶことが多いのと、それに加え、自身の関心を元に研究テーマを決めていくことで、自分にとっては実りが多いと期待できます。

また、大学の先生から直接、2年間にわたって研究指導が受けられたんですから。


教科書を読み知識を得ることも学びのひとつだとは思うのですが、おとなの学びとしては、得るだけではなく、知識を使う、知識をつくることも学びなんではないかなあと感じます。

特に、心理学は使ってナンボの学問だと思います。


おとなの学びって、なに?


と考えると、


蓄えた知識を使い、実際に使える知識を作り出すというのが、それなんじゃないかなあ?

そのためには、ひと通り、研究手法を経験しておくことで、より学びも深められると思われてきます。


修士へ行くという手もありますが。





今日から夏休み

今日から夏季休暇を取って、家にいます。


昨年、一昨年は、この時期、大学でスクーリングでしたねー。


今年の日程は始まっているんでしょうか?


スカイツリーライン経由で堀切へ行かれる方はくれぐれも、電車は乗り違えないようにご注意を。


私は、それで一回遅刻しました。


キャリアコンサルタント試験に役立つ本

キャリアコンサルティング試験合格に役に立った本をご紹介。

 

先ずは定番ですが、

キャリアコンサルティング 理論と実際 4訂版

キャリアコンサルティング 理論と実際 4訂版

 
新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ

 

 この2冊は必読です。試験作成担当者のネタ本ではないかと思うくらい。

これからの試験では、次の本も外せないでしょう。 

新時代のキャリアコンサルティング―キャリア理論・カウンセリング理論の現在と未来

新時代のキャリアコンサルティング―キャリア理論・カウンセリング理論の現在と未来

 

 

上記3冊は、試験に直結するものですが、いきなり読み進めようとするにはハードルがあるなあと感じる場合、キャリアコンサルタントって?というイメージがつかめる本が役に立ちます。それには次の3冊がオススメです。

 

キャリアカウンセリング (21世紀カウンセリング叢書)

キャリアカウンセリング (21世紀カウンセリング叢書)

 

宮城先生のこの本も定番ですね。

この本を読んでから、木村先生の「理論と実際」に進むのもアリです。

キャリアカウンセリング再考―実践に役立つQ&A

キャリアカウンセリング再考―実践に役立つQ&A

 

「再考」と書かれていますが、カウンセリングとは? キャリアカウンセリングとは?から、実践や将来ビジョンを考えるにも役立つ本です。

また、キャリア理論をどのように活用するのか、といったことも書かれているので、養成講習で学んだ知識を整理するヒントも得られるのではないかと思います。

会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング

会社と個人を元気にするキャリア・カウンセリング

 

金井壽宏先生の編著によるもので15年ほど前の本ですが、様々な論者によるキャリア論は、自分なりに理論を整理するのにとても役に立ちます。

この本で、金井先生は組織開発、トランジション(転機)についてまとめているのですが、「企業内キャリアコンサルタント」への期待が大きいことを考えると、そこにもヒントが隠れていそうです。

 キャリアコンサルタントを受けてみようかと資格取得を考えている人は先ずこの本を紐解いてみるのがオススメです。

キャリアコンサルタントがどんな資格なのか、試験はどんな内容かを余さず把握できます。また、現役コンサルタントのレポートは、イメージを膨らませるのに非常に有益です。

試験の内容に合わせて、情報源(厚労省資料など)が掲載されているのも便利。

 

キャリアコンサルタントもそうですし、他の資格でもそうですが、この資格をとってどんな仕事をやっていくのか、具体的なイメージを持っておくことは、学習の支えになります。その資格を取得した方たちの語りは、イメージを膨らませるための題材になります。

 

キャリコンの力 キャリア・コンサルタントの人間力と能力 (Parade books)

キャリコンの力 キャリア・コンサルタントの人間力と能力 (Parade books)

 
キャリアカウンセリングとメンタル 心に不安を抱える人へのサポート力向上に (Parade books)

キャリアカウンセリングとメンタル 心に不安を抱える人へのサポート力向上に (Parade books)

 

 

私の場合、松尾さんから影響を受け、自分なりのキャリアコンサルタントのイメージを模索している最中ですが、キャリアコンサルタントって、こんな仕事もするんですね、ということが上記2冊でよく分かります。仕事はお客さん=クライエントがいらっしゃってこそやれる、キャリアコンサルタントだからできるということではないんですね。松尾さんは、目の前のクライエントの問題を解決することを一心に学びを続け、仕事の幅を広げていらっしゃいます。

 

キャリアコンサルタント試験での実技に役立つ本をいくつか挙げておきます。

 

傾聴術―ひとりで磨ける“聴く”技術

傾聴術―ひとりで磨ける“聴く”技術

 
プロカウンセラーの聞く技術

プロカウンセラーの聞く技術

 

 

傾聴に関する本では、この2冊が定番だと思います。

古宮さんの傾聴に関する本は何冊かありますが、私はこの本が説明が一番シンプルで、またワークブックにもなっているという意味で、とてもいい本だと思います。

東山さんの「聞く技術」も非常に参考になります。

 

カウンセリングの技法

カウンセリングの技法

 

 40年近く前の本ですが、有名な「コーヒーカップ方式」はこの本に書かれています。

 

ここまでは結構、キャリアコンサルタントに関する他のブログでも重複している本が多いと思います。

次の2冊は、あんまり見かけないと思いますが、実は一番学科でも実技でも応用がきく本です。

 

生きるために大切なこと

生きるために大切なこと

 

 アドラー本は色々と発刊されていますが、それらの大半は、アドラーを引用しながら自説を展開しているものが多いと私は思っています。もちろん、向後先生の「幸せな劣等感」のように例外もあるのですが、読んでいるとアドラーが言っていることなのか、著者が言っているのかわからなくなることがあります。

アドラーの翻訳も色々ありますが、最も読みやすいのが、この本です。

アドラーがなぜ、応用が効くかというと、キャリア理論でもカウンセリング理論でも、アドラーが言っていることに近いものが多いからです。私は、アドラーを読むことで、いろいろな理論がアドラーに紐づけて整理できました。

 

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)

 

 河合先生は、他にも「カウンセリングの実際問題」など、カウンセリングに関する本を書かれていますが、私はその中でも、この本が一番参考になりました。簡潔な表現で書かれていますが、実技ではそれが一番役に立ちます。ただ、中身はとても深い。のっけから「他人と分かり合えるはずがない」と言い放たれるところから始まりますが、一方で、「人間は他人との共感を求めずにはいられない」とも先生は指摘します。いきなり、ポーンと投げ出された気分になります。そこにこの本の奥深さがあります。理屈では理解できないところがあります。でも、ひとの心理って理屈じゃないですもんね。

 

参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャリアコンサルタントに一発合格した理由

別ブログで書きましたが、今回、キャリアコンサルタント試験に合格しました。

大学の回し者ではありません。

先に断っておきますが、合格できた最大の理由は、モチベーション行動科学部での学びだと考えています。

心理学はもちろん、経営や教育など、東京未来大学で学んだことが私がこの試験に臨んだ最大の強みでした。

ここで学んだことが、キャリアコンサルタントを目指すきっかけでしたし、そこで学んだ知識が存分に活かせる内容でした。


先生方には、ほんとうに深謝しています。

心理学検定の申込開始

心理学検定の申込が始まっています。

http://www.jupaken.jp/?gclid=CJPugNeYrtQCFZAEKgodzh8CBw

私は昨年受験しました。6科目合格で、いちおう、一級保持者です。うち、これ、ギリギリだったねというのもあったんですが。
キャリコン試験もありましたので、今年の受験は見送ろうと思います。
ただ、ほんとうは、同じ科目も毎年受けるのがいいんだろうなとは思います。

謙虚なコンサルティング〜真摯な好奇心

ロジャーズの無条件の肯定的関心、アイビィの好意的関心とシャインの真摯な好奇心は何が違うのか?

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臨床心理学と組織心理学の違い?



脆弱な組織について

ビジネス書などの多くは、強い組織を取り上げることがほとんど。「こうすれば良い」といったことが満載されていることが多い。

ベストプラクティスを知ることは大事ではあるが、逆に、脆弱な組織を論じた本はあまり知らない。廃業や倒産といった、結果から原因をあげつらう本はたまに書店に並んでいるが、現在、生存中である組織で、しかも、戦略も曖昧で、人員も定着せず、業績も上向いていかない、生きてはいるがいつ死んでも不思議ではない、といった組織を正面から論じた本は、あまり見当たらない。

私が知らないだけなのかもしれないが、あまり見当たらない理由は確かにあるだろう。研究テーマとして掲げても、あなたの会社は脆弱ですねといって、気分良く調査させてくれる企業は少ないだろう。企業イメージを損なうことにもつながる。粉飾会計以上に、組織としての弱みは外部からはなかなか見えない。

研究対象とするのであれば、脆弱さにとどまらず、より具体的な問題設定にする必要があるのかもしれない。

ただ、経験知として、おおよそ、脆弱な組織をわかっているし、見分けがつく気もする。

信用調査は普及しているし、企業分析の手法もある。トップを見ればわかるという人もいるだろう。とすると、われわれは脆弱な組織について、すでに多くを知っていることになるのだろうか。

簡単に強いと言われる組織の反対を考えてみると良いのかもしれない。

・リーダーシップが弱い。あるいは機能していない。

・情報が行き渡らず、コミュニケーションロスがいつも発生している

・業務システムが確立されていない。統制がきかない

・ヒトの入れ替わりが激しい。ノウハウが蓄積されていない

・新規事業に立て続けて、失敗している

・企業理念が曖昧

・何をやれば成長するのか、会社としても、そこで働く社員もわかっていない

・こんなポンコツな企画、誰が、いつ、決めたのか、わからない

・失敗の責任を誰もとらない

・役員と飲みにいった回数で、ほぼ出世が決まる、と社員が思っている

・方針とは名ばかりで、中身スカスカの活動計画が上から下へ降りてくる

・今までやってきたことの踏襲でしかなく、ここ何年も目新しいことをやっていない

ホワイト企業ワークライフバランスなど、外面は良くしようとしているが、メンタル支障、残業、離職率が高い


いろいろ書いたが、ひっくるめると、夢を描かない会社は、大抵、脆弱な組織のような気がする。




大学は卒業しましたが、、、

先週大学は卒業しましたが、先日、産業・組織心理学会から入会承認いただいたのを機に、今後は「週末研究者」を目指して、このブログは続けていこうと思います。引き続き、宜しくお願いします。

49歳の大学卒業式

本日、大学の卒業式出席のため、池袋で山手線、日暮里で京成線に乗り継ぎ、堀切へと行ってきました。

前は、大学の卒業式は入院して出れなかったので、生涯初めての大学の卒業式です。

式は、校舎のホール形態の教室で行われました。出席者は50人くらいでしょうか。あまり正確ではないかもしれません。同伴者の家族の方もいました。

副学長の式辞、総代による学位記授与、謝辞、校歌斉唱と続いたあと、卒業式一人ひとりに学務担当の先生から学位記が手渡しされます。

副学長の近藤先生が生涯学習に触れられていたのが印象に残ります。

校歌、微妙に音程を取るのが難しいなとあらためて感じました。

学位記授与のときは、同伴者の方から歓声が上がる方もいました。

卒業生一人ひとり、それぞれ思いがあって、東京未来大学に入り、学びを重ねてきたのだろうなとあらためて感じました。非常に暖かい雰囲気でした。

通学生の卒業式とは違う雰囲気がありましたね。

年代も違う、生活環境も違う人びとが、この場に介して卒業というイベントを迎える、考えてみれば不思議です。

近藤先生も「奇縁」と表現されていましたが、それぞれがこの大学に自分なりの動機をもって入学し、学びを経験してきたのだと思います。ただ、そこでの学びは皆同じなのかというと、どうもそうではないのではないかと思います。スクーリングでいっしょの時間、同じ講義を聞いたということはありますが、普段の学習方法やスタイルはやはりそれぞれなんだろうと思います。

卒業式に出席された方も、されなかった方も、この日を共に迎えられたことを非常に嬉しいと感じます。



大人になって大学で学ぶ意味

このブログを始めて2年経ち、私も47歳から49歳となりました。

あらためて、この年齢から大学で学ぶことの意味について考えたいと思います。

40代となれば、いいも悪いも含め、人生経験を積んできた年代で、それが学びのベースになっていると感じます。

そして、この年代だからこそ、大学で学んだ意味は確かにあったと感じています。その意味は、20数年間の社会人経験を学びを通して振り返ることとなり、整理できたことではないかと思います。これは心理学だけでなく、経営学、教育学のすべての科目に当てはまることです。中には自分の経験からは実感を得られにくい科目もありましたが、それまで興味・関心がなかったところに触れられたということは、大学に入らなければ見過ごしていたかもしれなかったことだけにプラスであったのです。

大学での学びの良さは自分の関心ある分野を体系的に学べることですが、この体系的というのが大事です。自学自習では自分の関心の範囲だけにとどまってしまいがちですので、その分野で必須とされる基礎的分野がおざなりになりがちです。大学ではカリキュラム上必須になっているので、嫌々でも学習しなくてはいけません。嫌々でも学習し単位を取ったという事実は、学びとして意味あることだと思います。一つの学問分野の中でも「合う」「合わない」はありますが、触れた結果「合わない」ことを確認できたというのが大事です。

学びを通して自分の経験を振り返り、学びによって経験を再構成し、自分なりに意味付けする。金井先生の言う「持論」が、大学での学びに近い気がします。特に、心理学は日常生活に密着する学問であるだけに、これまでの経験や日常行動を見直すきっかけになりました。

心理学は全身を使って学ぶものだ、と大学では教えていただきました。

体験を理論を使って言葉にする、あるいは測定し、数値化していくこと。その積み重ねこそ学びだと思います。

それと同時に、大人になって大学で学ぶ意味の一つとして、職場と家庭以外で、居場所ができたことは個人的に心の支えになりました。「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」などが盛んにアピールされるご時世ですが、これまでベンチャーで創業期から働いてきたため、今でいうブラックな働き方をしてきたため、職場以外にはほとんど居場所がなく、家でも休日は日がな寝て過ごすような日常でした。そこに、40代後半になって大学生という肩書きを持てたことは、これまでの働き方を見直すきっかけになりました。職場、家庭以外に居場所を作るのは、メンタルヘルス上効果があります。これは実感です。

現在、キャリアコンサルタントの資格取得目指しているのも、モチベーション行動科学部での学びがベースになっているのは、この学部での学びにより経験の振り返りを行なってきたことが関係しています。直接的にはカウンセリングの授業で、カウンセリングに興味を持ち、関連する資格を取りたいと考えたことがきっかけになりました。それ以外にも、キャリアカウンセリングや労働法、人的資源管理などの科目を取得していたので、資格勉強にも有利だろうとも思いました。ただ、JCDAの提唱する「経験代謝」に近いことを大学での2年間の学びでやってたんだろうと感じます。で、今、キャリアコンサルタントの講習に出ていて、モチベで学んだことは役に立っています。「ああ、それ、やったよね」という事柄が結構あります。キャリアコンサルタントの方には、モチベーション行動科学部は検討の余地あります。

 

明後日は卒業式。

 

東京未来大学という居場所は、明後日で卒業です。

 

新しい居場所を作らないと。

 

大学院作らないかなあ。

 

 

 

2016年度秋学期を振り返って

前学期で、卒業に必要な単位は取っていたので、心理学に偏った科目履修でした。

昨年は、毎月スクーリングで大学に行く機会があったのですが、今年は心理アセスメントだけ。仕事が忙しくなったこと、キャリアコンサルタント応用実習が始まったことも重なり、テキストは8ターム二科目落とした。

とはいえ、これで認定心理士の資格申請要件は充足できたし、興味ある分野も学べたので、まあまあ良しとしたい。認定心理士は、公認心理師資格での優遇などがない限りは申請はたぶんしないけど。