47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

脆弱な組織について

ビジネス書などの多くは、強い組織を取り上げることがほとんど。「こうすれば良い」といったことが満載されていることが多い。

ベストプラクティスを知ることは大事ではあるが、逆に、脆弱な組織を論じた本はあまり知らない。廃業や倒産といった、結果から原因をあげつらう本はたまに書店に並んでいるが、現在、生存中である組織で、しかも、戦略も曖昧で、人員も定着せず、業績も上向いていかない、生きてはいるがいつ死んでも不思議ではない、といった組織を正面から論じた本は、あまり見当たらない。

私が知らないだけなのかもしれないが、あまり見当たらない理由は確かにあるだろう。研究テーマとして掲げても、あなたの会社は脆弱ですねといって、気分良く調査させてくれる企業は少ないだろう。企業イメージを損なうことにもつながる。粉飾会計以上に、組織としての弱みは外部からはなかなか見えない。

研究対象とするのであれば、脆弱さにとどまらず、より具体的な問題設定にする必要があるのかもしれない。

ただ、経験知として、おおよそ、脆弱な組織をわかっているし、見分けがつく気もする。

信用調査は普及しているし、企業分析の手法もある。トップを見ればわかるという人もいるだろう。とすると、われわれは脆弱な組織について、すでに多くを知っていることになるのだろうか。

簡単に強いと言われる組織の反対を考えてみると良いのかもしれない。

・リーダーシップが弱い。あるいは機能していない。

・情報が行き渡らず、コミュニケーションロスがいつも発生している

・業務システムが確立されていない。統制がきかない

・ヒトの入れ替わりが激しい。ノウハウが蓄積されていない

・新規事業に立て続けて、失敗している

・企業理念が曖昧

・何をやれば成長するのか、会社としても、そこで働く社員もわかっていない

・こんなポンコツな企画、誰が、いつ、決めたのか、わからない

・失敗の責任を誰もとらない

・役員と飲みにいった回数で、ほぼ出世が決まる、と社員が思っている

・方針とは名ばかりで、中身スカスカの活動計画が上から下へ降りてくる

・今までやってきたことの踏襲でしかなく、ここ何年も目新しいことをやっていない

ホワイト企業ワークライフバランスなど、外面は良くしようとしているが、メンタル支障、残業、離職率が高い


いろいろ書いたが、ひっくるめると、夢を描かない会社は、大抵、脆弱な組織のような気がする。




49歳の大学卒業式

本日、大学の卒業式出席のため、池袋で山手線、日暮里で京成線に乗り継ぎ、堀切へと行ってきました。

前は、大学の卒業式は入院して出れなかったので、生涯初めての大学の卒業式です。

式は、校舎のホール形態の教室で行われました。出席者は50人くらいでしょうか。あまり正確ではないかもしれません。同伴者の家族の方もいました。

副学長の式辞、総代による学位記授与、謝辞、校歌斉唱と続いたあと、卒業式一人ひとりに学務担当の先生から学位記が手渡しされます。

副学長の近藤先生が生涯学習に触れられていたのが印象に残ります。

校歌、微妙に音程を取るのが難しいなとあらためて感じました。

学位記授与のときは、同伴者の方から歓声が上がる方もいました。

卒業生一人ひとり、それぞれ思いがあって、東京未来大学に入り、学びを重ねてきたのだろうなとあらためて感じました。非常に暖かい雰囲気でした。

通学生の卒業式とは違う雰囲気がありましたね。

年代も違う、生活環境も違う人びとが、この場に介して卒業というイベントを迎える、考えてみれば不思議です。

近藤先生も「奇縁」と表現されていましたが、それぞれがこの大学に自分なりの動機をもって入学し、学びを経験してきたのだと思います。ただ、そこでの学びは皆同じなのかというと、どうもそうではないのではないかと思います。スクーリングでいっしょの時間、同じ講義を聞いたということはありますが、普段の学習方法やスタイルはやはりそれぞれなんだろうと思います。

卒業式に出席された方も、されなかった方も、この日を共に迎えられたことを非常に嬉しいと感じます。



大人になって大学で学ぶ意味

このブログを始めて2年経ち、私も47歳から49歳となりました。

あらためて、この年齢から大学で学ぶことの意味について考えたいと思います。

40代となれば、いいも悪いも含め、人生経験を積んできた年代で、それが学びのベースになっていると感じます。

そして、この年代だからこそ、大学で学んだ意味は確かにあったと感じています。その意味は、20数年間の社会人経験を学びを通して振り返ることとなり、整理できたことではないかと思います。これは心理学だけでなく、経営学、教育学のすべての科目に当てはまることです。中には自分の経験からは実感を得られにくい科目もありましたが、それまで興味・関心がなかったところに触れられたということは、大学に入らなければ見過ごしていたかもしれなかったことだけにプラスであったのです。

大学での学びの良さは自分の関心ある分野を体系的に学べることですが、この体系的というのが大事です。自学自習では自分の関心の範囲だけにとどまってしまいがちですので、その分野で必須とされる基礎的分野がおざなりになりがちです。大学ではカリキュラム上必須になっているので、嫌々でも学習しなくてはいけません。嫌々でも学習し単位を取ったという事実は、学びとして意味あることだと思います。一つの学問分野の中でも「合う」「合わない」はありますが、触れた結果「合わない」ことを確認できたというのが大事です。

学びを通して自分の経験を振り返り、学びによって経験を再構成し、自分なりに意味付けする。金井先生の言う「持論」が、大学での学びに近い気がします。特に、心理学は日常生活に密着する学問であるだけに、これまでの経験や日常行動を見直すきっかけになりました。

心理学は全身を使って学ぶものだ、と大学では教えていただきました。

体験を理論を使って言葉にする、あるいは測定し、数値化していくこと。その積み重ねこそ学びだと思います。

それと同時に、大人になって大学で学ぶ意味の一つとして、職場と家庭以外で、居場所ができたことは個人的に心の支えになりました。「働き方改革」や「ワーク・ライフ・バランス」などが盛んにアピールされるご時世ですが、これまでベンチャーで創業期から働いてきたため、今でいうブラックな働き方をしてきたため、職場以外にはほとんど居場所がなく、家でも休日は日がな寝て過ごすような日常でした。そこに、40代後半になって大学生という肩書きを持てたことは、これまでの働き方を見直すきっかけになりました。職場、家庭以外に居場所を作るのは、メンタルヘルス上効果があります。これは実感です。

現在、キャリアコンサルタントの資格取得目指しているのも、モチベーション行動科学部での学びがベースになっているのは、この学部での学びにより経験の振り返りを行なってきたことが関係しています。直接的にはカウンセリングの授業で、カウンセリングに興味を持ち、関連する資格を取りたいと考えたことがきっかけになりました。それ以外にも、キャリアカウンセリングや労働法、人的資源管理などの科目を取得していたので、資格勉強にも有利だろうとも思いました。ただ、JCDAの提唱する「経験代謝」に近いことを大学での2年間の学びでやってたんだろうと感じます。で、今、キャリアコンサルタントの講習に出ていて、モチベで学んだことは役に立っています。「ああ、それ、やったよね」という事柄が結構あります。キャリアコンサルタントの方には、モチベーション行動科学部は検討の余地あります。

 

明後日は卒業式。

 

東京未来大学という居場所は、明後日で卒業です。

 

新しい居場所を作らないと。

 

大学院作らないかなあ。

 

 

 

2016年度秋学期を振り返って

前学期で、卒業に必要な単位は取っていたので、心理学に偏った科目履修でした。

昨年は、毎月スクーリングで大学に行く機会があったのですが、今年は心理アセスメントだけ。仕事が忙しくなったこと、キャリアコンサルタント応用実習が始まったことも重なり、テキストは8ターム二科目落とした。

とはいえ、これで認定心理士の資格申請要件は充足できたし、興味ある分野も学べたので、まあまあ良しとしたい。認定心理士は、公認心理師資格での優遇などがない限りは申請はたぶんしないけど。



2016秋 生涯発達心理学

入学当初、基礎分野の心理学は1年目に履修しておこうと考えていたところが、今年度に繰り越した科目です。昨年秋はカウンセリングやコミュニケーションスキルなどの応用心理学を優先させたんでした。

とはいえ、基礎分野のなかでは1番興味のあった科目が生涯発達心理学。そして、今、やってることにも生涯発達心理学はかかわりが深い。

何やってるのかというと、キャリアコンサルタントの勉強ですが、生涯発達心理学の考え方や概念がいくつも応用されているんです。


生涯を扱うので、赤ちゃんから老人まで、ひとの一生がその内容になりますが、青年期以降、ぐっとボリュームは減ります。これまでの研究の蓄積が、赤ちゃんが圧倒的に多いから。心理学の歴史では青年期以降はあんまり変化ないものとして考えられてた時期が長い。

とはいえ、ユングが中年期を人生の正午と呼んだりしてたんですけどね。


2016秋 家族の心理学

家族についての理論と実践を学びます。家族を中心に発達心理学と臨床心理学を合わせた内容。システム論は、家族心理学以外ではあまり触れたことのないものだと思います。ここでは精神疾患を患った人は、たまたま、その人に症状が現れたのだと考えます。つまり、症状は家族関係から生じるのであって、個人の性癖や性格、生活歴などから生じるものではないと考えます。纏綿家族、遊離家族、ジェノグラフ、エコマップなど特有の用語が飛び交います。家族を巡る現代的な諸問題が取り上げられています。身近なだけに、重い、そう感じることもないわけではありません。しかし、身近なだけに家族心理学で学ぶ内容は考えやすいのは確かです。家族システム論特有の考え方には慣れが必要かもしれません。ただ、あくまで考え方なので、その論理が理解できると非常に応用がききます。


私は、この科目から非常に家族心理学に興味を持ちました。家族は極めて現代的なテーマであり、臨床上も最先端なんですね。


科目選択にあたっては、先に生涯発達心理学と臨床心理学をやっとくと理解しやすいと思います。あと、ジェンダー論。性役割家族心理学にもジェンダー論にも共通する論点なので。



2016秋 感情心理学

感情の心理的メカニズムを一通り学ぶことができます。

感情については、社会心理学認知心理学などでも取り上げられています。

その点で、この科目では、感情というてーまで、複数の科目を横串に刺すイメージでしょうか。

なので、すでに他の科目での学びを振り返りながら、あらためて感情についての心理学的な見方を深めることになります。


感情は重要なテーマですからね。



2016秋 ボランティア論

教育系の科目だったと思いますが、ボランティアについて社会学の立場から学ぶ科目です。ボランティアとはなんぞやからNPOなどボランティアをささえる仕組みまで、ボランティアに関連する事柄が取り上げられます。

自発的援助を美化するのではなく、ボランティア活動で起こる課題が現実的な観点で取り上げられています。人が集まったのはいいが、マネジメントができなくて、事が何も進まない、とか。

ボランティア活動には、あまり積極的に参加したことがありません。が、今後、自分の活動領域に地域活動なども加えて見るのはどうか、と思っていたので受講しました。

おかげで、ボランティア活動に対する見方の参考になりました。

2016秋 ストレスマネジメント

この科目、テキスト科目ですが、ストレスのセルフチェックを通じて、ストレスマネジメントを学ぶ構成になっています。自分がどういうことで、どういうときにストレスを感じるのかを知り、その対処法を学ぶという、日常に役立つ実践的内容になっています。


理論を学ぶことも大事なのですが、この科目のように、日常に心理学をどのように応用していくかについての学びはモチベの特徴のひとつです。


2016秋 心理アセスメント

2016年度秋学期の振り返りです。

最初はスクーリング科目の心理アセスメントです。

この科目、心理学実験と同じく、コマ数24コマ、計5日で行われます。実習科目なので、いろいろなアセスメントの紹介とともに、実際、体験します。

発達検査、知能検査、投影法など、いろいろなアセスメントが体験できる授業になってます。また、心理学実験と同じく、複数の先生方が担当されます。

あと、認定心理士取得には必須なので、受講生は多いっす。モチベ、こども心理共通なんですが、スクーリングでモチベのひととこんなに一緒に受けたのは初めてでした。


この授業を受けただけで、一つひとつの検査をマスターできるものではないですが、アセスメントとはこういうものだというイメージはつかめるかも。


あと、こども心理にはアセスメントIIがありますが、モチベにはありません。あってもいいのになあ。職業興味検査とかキャリアに関連するものやポジティブ心理学系のアセスメントもいくつもあるし。このあたり、モチベの守備範囲のはず。

卒業判定結果の通知が届いた

今日、大学のウェブにアクセスしたところ、卒業判定結果の連絡が来ていました。

結果は卒業可となります。

今月18日が卒業式、学位記授与が行われます。

学位記の受取は卒業式のほか、自分で他の日に受け取りに行くこともできますし、郵送もできますが、せっかくなので、卒業式で受け取る予定です。

 堀切駅前のラーメン屋みゆきでランチだな。


二十数年前の卒業式には入院していたので、欠席したため、大学の卒業式に出るのは生涯で初めてです。

お世話になった先生方にもご挨拶しておきたいな。



学習と仕事のバランス

8タームの成績確定。今回、2科目とも不合格。中間テスト未受験のため、すでにわかっていましたが、残念です。

年度末にあたり、仕事が忙しく、疲れて、教科書もまともに読めないので、テスト受けなかったのです。

これまではテキスト科目は落とさずにきたのですが、卒業を控え最後のタームでテストも受けないというのは残念。

確かに卒業単位はクリアしているから、という気持ちがあり、仕事とのバランスで時間調整した結果なんですけどね。今まではバランスとって学習にも時間を割けてこれたんですが。


学習と仕事との両立は、通信の場合、やりやすいのは確かです。ただし、時間のやりくりは常にやっていく必要があります。

チェオクの剣が終わった

18日の放送で、チェオクの剣が最終回。

兄妹が互いに倒れて死にゆくラストシーンは、ハッピーエンドだと私は感じた。互いに、それまで生きてきたしがらみから全て解放され、純粋に兄と妹という関係を取り戻すことこそ、2人にとって共に希求してきたことであり、それが叶った瞬間こそ、幸福があったのだと思う。チェオクの剣は1つの神話なのだろう。

その時代背景は朝鮮王朝なのは間違いないが、それがいつのころなのかははっきりしない。何故、それが気になるのかというと、日本人がまさに、王朝転覆の片棒担いで登場するからだが、この日本人たちはクーデタを企てる一味の手先として村人を皆殺しにしたり、暗殺集団として申し分ない働きをする。だが、それはあくまで手先以上の存在ではない。

刹那すぎると感じつつ。


でも、このドラマ、14年も前のドラマなんですね。