47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

大人の学習観

前々回、前回と資格の勉強にまつわる話を書きました。簿記と行政書士を受けたのは、彼此、20年ほど前になります。なので、出願内容についてはあまり触れませんでしたが、宣言的記憶や手続き的記憶を意識すると、よりその試験にあった学習方法をすすめていくことができるのではないかと思います。

資格を取ろうとしたときに、独学、あるいは学校に通う、通信を受けるなど、取得の筋道がかんがえられますが、安易に学校に通えば資格が取れるのかというと必ずしもそうではないことは、周知の事実かと思います。

モチベーションを高め、かつ、その状態で維持し続けられるかは、独学だろうが、学校に通おうが、課題であることは変わりません。また、あの講師の指導に任せておけば良い、あの先生の言うことさえ聴いていれば必ず受かるというのも、怪しいと感じてしまいます。


テレビでもお馴染みの植木理恵さんに、学習観についての論文があります。

10年近く前の論文ですが、心理学研究として、実証的に分析がされています。研究対象は、高校生ではあるものの、資格取得を目指す方にとっても参考になるものです。

この論文では、学習観として、方略志向、学習量志向、環境志向の3つについて説明されています。

一番わかりやすいのは、学習量志向です。とにかく、時間を費やす、本を何回も繰り返して読むなど、勉強は物量勝負ですすめていくタイプ。

環境志向は、例えば、あの塾は優秀な生徒が揃っているから、進路指導に定評があるからなど、要は、最適な環境が整っている学校に行けば、自分も試験に合格すると考えるタイプ。

資格取得の話でいくと、実は、この環境志向が非常に問題になるケースが多いのではないかと踏んでいます。

資格取得は、資格学校によるマーケティングの色合いが強い。

資格は武器になる、資格を強みに新しいキャリアが開ける、これからは◯◯だから、それにはこの資格が有利など、このマーケティングでは、宣伝コピーは、20年以上前から変わりません。

無論、結局は、学校側も実績がものをいうのは承知なので、合格へのサポートは懸命に行ってくれるでしょう。しかし、学校のサポートはそこまでです。何を言いたいかというと、宣伝コピーを間に受ける人もそんなにはいないと思ってますが、合格後、学校が独立開業や就職斡旋をサポートしてくれるはずはありません。

資格は、試験に合格すれば仕事がついてくるわけではないのです。資格で仕事をしていくには、おそらく、試験勉強とは違った努力が必要です。学校は、合格させるのがビジネスであって、それが彼らの実績につながり、企業としての成長につながっていくのです。

学校によっては、合格後のサポートもしていきますよというところもあるのかもしれませんが。

環境志向からやや話が逸れたかもしれません。合格後のサポートは行き過ぎた議論かもしれませんが、合格までの学習という場面でも、学校任せの学習は、リスクがあると思っています。

実際には、自分が、学習に充てられる時間や学習スタイル、それまでの経験、知識、また、学校の雰囲気が、まったく、自分とは合わないと感じていながら、でも、実績のある学校だからと通い続けているケースもあるんじゃないかと思います。

また、学校のカリキュラム通り学習し、その学校の模擬試験では、いつも合格確率90パーセント以上だったのにも関わらす、本番の試験では、まるで歯が立たなかったというエピソードも、いくつも転がっているはずです。

特に、合格率一桁台の試験は、ある部分、確率が働くものです。なので、模擬試験はあまり良くなかったが合格する人も中にはいるのです。

環境志向が危険だなと思うのは、特に、試験後です。

この学校を信じて勉強してきたのに、この先生だからこそ合格できると信じていたのに、結果、翌年また頑張ろうという気にもなれず、下手に自信をなくし、それが仕事や生活にも影響がでてくるようになると本末転倒です。


学習を通じてなにを目指すのか、先ず、それをとことん考えることによって、より良い学習観が持てるのではないかと思います。