レイサム、ワークモチベーションを読み始める
東京未来大学では教育方針として、科学者=実践家モデルを掲げられています。
これは、臨床心理学に由来を持っているもので、たとえば、東大の下山先生によれば、
「つまり、臨床心理学は、人間行動がどのように維持発展されるかについての科学的探究に関わる科学性と、人間の苦悩を生み出す状況を改善し、問題を解決していく臨床実践に関わる実践性の両者から構成される学問として定義されるのです」(『これからの臨床心理学』、下山晴彦、東京大学出版会)。
下山先生は、米国心理学会での定義を引用し、上記のように紹介されています。
いっぽうで、産業・組織心理学でも、実践と科学を共に追究しようとする先生がいます。
ゲイリー・レイサム先生です。
本文400ページの大部で、まだ読み始めたばかりですが、冒頭から繰り返し、「実践者、科学者として」という言葉が繰り返し出て来ます。
著者のゲイリー・レイサムは、産業組織心理学の大家で、モチベーションの目標設定理論を提唱した先生。その先生が、研究のフィールドとして実践の場をどれほど重視していたか、また、その問題の解決にいかに意を注いでいたかが伺えます。
たとえば、
「本書全体をつうじて、実践者であり科学者である(逆の順序ではない)私自身に頻繁に言及するが、これはこの仕事についたときから、現実の職場の問題に行動科学の原則を当てはめることに関心をもってきたからだ」(『ワーク・モチベーション』、ゲイリー・レイサム)
また、これは邦訳されていないようですが、以下のような著作もあります。
Becoming the Evidence-Based Manager: Making the Science of Management Work for You
- 作者: Gary P. Latham
- 出版社/メーカー: Nicholas Brealey America
- 発売日: 2011/01/11
- メディア: Kindle版
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この、"Evidence-Based" というのが、また、臨床心理学でも使用される用語ですね。