47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

今のFPの課題

ライフデザインは、ファイナンシャルプランナーの教科書では、最初に出てくる言葉ですが、あまり説明はされません。

健康、生きがい、ファイナンスの3つがライフデザインを構成すると言われます。

これに続けて、ライフプランニングが説明されるのですが、ファイナンシャルプランナーが扱うのは、ライフプランニングの中のお金に関わる部分です。

バクッというと、結婚、出産、教育、介護など、様々なライフイベントへの備えとして、それらを賄うに十分なお金をどのように準備するか。ライフプランニングの例です。

一方で、言わずもがなのことですが、今ではライフスタイルの多様化が進んでいます。

お父さんが一家の稼ぎ頭ではない家庭もあります。子供の進学先として、海外の大学を選択することもあるかもしれません。あるいは、結婚しない人もいたりします。

私がFPの勉強を始めた20年ほど前は、世帯主を単位としての資産設計が前提でした。

リタイアメントプランニングという言葉の背景には、終身雇用、年功序列がありました。

今ではこのような前提は持ちにくいのは言うまでもありません。みんなにあてはまるようなライフスタイルのモデルは存在しないのです。

そのため、ファイナンシャルプランナーがクライアントへアドバイスするのも、以前とははるかに難しくなっていると思います。

教科書では、長期的、包括的とFPのプランニングの特徴をあげています。

そうしたプランニングを目指そうとするのなら、FPはクライアントのライフデザインを知る必要があるはずです。

この人はどんな価値観を持っているのか?どんなことを重視して生活しているのか?将来どんな暮らしを送りたいと考えているのか?

これらのことを理解して、プランニングを進めていく必要があるはずです。

でなければ、FPとしての価値はないのではないか?

それぞれに所属している機関に応じて、貯蓄の専門家、投資の専門家、不動産の専門家、住宅ローンの専門家、相続の専門家、ではあるものの、クライアントの長期的、包括的なプランニングを行えるのかは、ライフデザインへの配慮にかかっていると思います。でなければ、特定分野の専門家としてのアドバイスにとどまらざるをえないでしょう。

勿論、貯蓄や投資、ローン、保険、相続、年金は、それぞれに奥深いものがあります。それぞれの専門家の意見は、よいプランニングには欠かせません。

ただし、一つの意見だけに傾き、それがクライアントの生活にアンバランスとなってはまずい。

それらの専門家の意見も取り込みながら、全体のバランスをうまく調整していくことが大事だと考えます。

FPが今取り組んでいかないといけないのは、それなんじゃないのかと感じます。

クライアントのライフデザイン全体を見渡し、そのバランスに注意して、最適なプランニングを行い、その実行まで支援すること。

どうなのかなあ、それがFPのビジネスになるかどうかはわかりませんが。