脆弱な組織について
ビジネス書などの多くは、強い組織を取り上げることがほとんど。「こうすれば良い」といったことが満載されていることが多い。
ベストプラクティスを知ることは大事ではあるが、逆に、脆弱な組織を論じた本はあまり知らない。廃業や倒産といった、結果から原因をあげつらう本はたまに書店に並んでいるが、現在、生存中である組織で、しかも、戦略も曖昧で、人員も定着せず、業績も上向いていかない、生きてはいるがいつ死んでも不思議ではない、といった組織を正面から論じた本は、あまり見当たらない。
私が知らないだけなのかもしれないが、あまり見当たらない理由は確かにあるだろう。研究テーマとして掲げても、あなたの会社は脆弱ですねといって、気分良く調査させてくれる企業は少ないだろう。企業イメージを損なうことにもつながる。粉飾会計以上に、組織としての弱みは外部からはなかなか見えない。
研究対象とするのであれば、脆弱さにとどまらず、より具体的な問題設定にする必要があるのかもしれない。
ただ、経験知として、おおよそ、脆弱な組織をわかっているし、見分けがつく気もする。
信用調査は普及しているし、企業分析の手法もある。トップを見ればわかるという人もいるだろう。とすると、われわれは脆弱な組織について、すでに多くを知っていることになるのだろうか。
簡単に強いと言われる組織の反対を考えてみると良いのかもしれない。
・リーダーシップが弱い。あるいは機能していない。
・情報が行き渡らず、コミュニケーションロスがいつも発生している
・業務システムが確立されていない。統制がきかない
・ヒトの入れ替わりが激しい。ノウハウが蓄積されていない
・新規事業に立て続けて、失敗している
・企業理念が曖昧
・何をやれば成長するのか、会社としても、そこで働く社員もわかっていない
・こんなポンコツな企画、誰が、いつ、決めたのか、わからない
・失敗の責任を誰もとらない
・役員と飲みにいった回数で、ほぼ出世が決まる、と社員が思っている
・方針とは名ばかりで、中身スカスカの活動計画が上から下へ降りてくる
・今までやってきたことの踏襲でしかなく、ここ何年も目新しいことをやっていない
・ホワイト企業、ワークライフバランスなど、外面は良くしようとしているが、メンタル支障、残業、離職率が高い
いろいろ書いたが、ひっくるめると、夢を描かない会社は、大抵、脆弱な組織のような気がする。