アドラーからロジャーズへ
アドラーは、フロイト、ユングと並び、心理学の三代巨頭と言われたりもします。
ここでいう心理学は臨床心理学のことを指しているんだろうと思います。
臨床心理学の教科書にならえば、フロイトは臨床心理学を切り拓いた先達者であり、その後、精神分析のなかでも様々な流派に分かれたり、そして、精神分析、行動分析とは異なる立場で、ひとの全体性に着目するロジャーズ。
臨床心理学と心理療法の歴史は、フロイトを出発点として、フロイトとの比較で整理されることが割と多いですね。
教科書上では、アドラーの名前はほとんど出てきません。
ただ、ロジャーズ以降の臨床心理学の流れも含めてみると、アドラーの影響は大きい。
論理療法やナラティブアプローチまで、むしろ、アドラーを素地に現在の臨床心理学があるのではないか?とさえ思えてしまう。
アドラーの影響範囲は広いと漠然と考えるのではなく、アドラーの主要な概念を手掛かりとして、臨床心理学あるいは心理療法の歴史を振り返ってみる。そうすると、さまざまな療法家の独自性もよりよく見えるかもしれない。
てなことを考えていくと、私が、まず手始めとして考えたいのは、アドラーとロジャーズの関係です。
アドラーは指示療法、ロジャーズは非指示療法という違いはあるけれど、ひとの見方や実際の活動には似ているところがあります。
ひとの見方ということでは、人間の自発的な成長可能性にアドラーもロジャーズも着目していたという共通点は言えると思います。
アドラーには全体性という概念がありますが、ひとを包括的にみるという考えはロジャーズも持っています。
活動という点で、今、オープンダイアローグが話題になったりしますが、アドラーもロジャーズも、公開性に着目さていた。アドラーはオープンカウンセリングを行い、ロジャーズはエンカウンターグループをやってます。
逐語録の録音、公開もロジャーズが始めた。
アドラーからロジャーズへ、という流れは、これからよりくわしく確認していきたいと考えています。