47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

心理学への入り口

最近、俄然、教育心理学に興味が湧いて来た。きっかけは、市川伸一先生の「学ぶ意欲の心理学」(PHP新書)。放送大学で集中して放映されていた先生の授業を視聴し、さらに興味関心が強くなった。


また、向後千春先生の教える技術やアドラー心理学関連の本も読み始めた。これまで統計の教科書は使わせていただいていたが、むしろ、先生の本業であられる教育工学、インストラクショナルデザインに、今は、非常に引き寄せられる。

心理学そのものに興味を持ち始めたのが、ほぼ1年前の今頃。仕事上で出会ったワークエンゲイジメントがきっかけだった。東大の島津明人先生が翻訳されているワークエンゲイジメントの入門書を読んで、目からウロコが落ちた気がしたのだった。

それから、生涯発達、臨床心理学、認知行動療法認知心理学、組織行動論と、興味のおもむくままに、心理学関連の本を読んだ。
半年強の期間ではあるが、ぼんやりと自分なりの心理学のイメージが出来上がったような気がする。

私の中での心理学に対しての期待は、科学と実践の両立だ。臨床心理学の教科書に出てくる言葉だが、これは、臨床心理学だけに限らないのではないか?と思っている。ポジティブ心理学も科学による実証性は認められるところだと理解している。教育心理学もまた、認知心理学に基づき、教育という現場で実践されている。

教える、学ぶということは、日常、職場でも行っていることだけに、より、自分事として考えやすい。部下の指導は勿論、お客さまへのプレゼン、研修、ワークショップ、セミナーなど、自分がやってきたことを題材に、気づきが得られる。

教育心理学は面白いと感じるのは、このように、自分の知識や経験にあてはめて考えることができるからだと、でも、組織行動論や生涯発達でも、そう思ってたなあ。

心理学への入り口は、日常、いろいろなところに見つけられると、あらためて感じたのでした。

学力と学習支援の心理学見終わったので

「学力と学習支援の心理学」、撮り溜めしていた10回から15回を週末、一挙に見終わりました。


この授業のメイン視聴者は、教職志望者だと思いますが、一般企業の人材育成、研修、職場の部下指導にも参考になるところが非常に大きいと感じました。
4月からまた、放送されるはずですので、興味ある方は、是非チェックをお勧めします。

教育心理学と教育現場との大きな溝について、最初に触れられていたのですが、学力と学習支援をテーマに置き、科学としての心理学と実践としての教育が、どういう形で相互に交じり合い、双方が発展していくのかが、全15回の授業を通して、その難しさや課題も織り交ぜながら、感じられたことが、非常に大きな収穫でした。

臨床心理学でも言われている、科学と実践が教育心理学でも行われているんだと気づくことができました。

教育心理学のベースに、認知心理学が置かれていたのも、心理学というのを理解するのに役立ったと思っています。

学力と学習支援の心理学 (放送大学教材)

学力と学習支援の心理学 (放送大学教材)

学びのモチベーションの上手いコントロールのために

放送大学の「学力と学習支援の心理学」。
全15回のうち、9回まで見終わりました。

学習意欲、
認知カウンセリング、
教えて考えさせる授業と、
前半は、理論的な内容ですが、
後半に入って、言語活用力、算数、科学的思考力と、実際の小学校での教えて考えさせる授業の様子も取り上げられていて、
とても興味深い内容です。

教師が基礎的な概念を先ず教えるのですが、
協同学習という形で、児童同士で、お互い、
学んだ内容について理解を確認させる、
さらに、今学んだことを発展させて、応用問題を解かせる。

相手に説明すろことで、より理解が深まるというのは、大人でも日常、経験するところですが、あらためて、「教え方」として体系的に説明いただくと、なるほど〜と、妙に納得する点がいくつかありました。

内容的に、教育現場に近い内容であるとは思いますが、他の仕事にも応用できる内容だと思います。

教育心理学も、面白そうです。

この授業は、東大の市川伸一教授が主任講師をされています。
教授の以下の本も面白いです。

学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

学ぶ意欲の心理学 (PHP新書)

放送大学の授業の一コマでも、
学習意欲は取り上げられていましたが、
この本は、教授が提唱している二要因論を、
対談も交えながら、批判的に検証されているところが特徴的。
学びという角度で、モチベーションが取り上げられていますが、
学びに限らず、仕事のモチベーションにも関わる内容です。
また、新しい学びを始めようかと考えている人にも、参考になるかと。

自分の学びのモチベーションをどうマネジメントしていくか、ヒントが見つかるかもしれません。


心理学で高める仕事のスキル

非常にざっくりとしたした理解ですが、

1879年、ヴントによって実験心理学という科学として誕生した心理学は、
実験室内での研究にとどまっていることへの批判から、
より実践的な、人の心を治癒するものとして臨床心理学が生まれ、
また、病理に対する治療にとどまらず、
人間をトータルに見ることから、幸福感の成長に着目するポジティブ心理学へと、
そのフィールドを広げてきたと理解してます。
勿論、実験心理学は、臨床心理学の誕生により消失したわけではなく、その実験精神や手法は、認知心理学にも、社会心理学にも、継承されていて、また、ポジティブ心理学は、当然ながら人の心の治療を否定しているのでもありません。
むしろ、実験心理学から臨床心理学、そしてポジティブ心理学へという流れの中で、科学と実践とが螺旋状に影響を与え、進化、発展していくフィールドを作ってきた。

臨床心理学の教育モデルとして、
科学者=実践家モデルがあります。
これは、上記の心理学の歴史から見れば、
至極まっとうなモデルのように見えます。

科学者=実践家モデルは、
下山教授による臨床心理学の教科書で知りましたが、このモデルは、臨床心理学に限らず、仕事をしていく上で、非常に重要なものです。

事実を客観的に見て、問題点は何なのかの仮説を立て、それを検証し、得られたエビデンスを元に合理的な判断、行動を取る、
こうした科学者=実践家モデルは、臨床心理士だけのモデルではなく、ビジネスマンのモデルのひとつだと思います。

実験、観察、調査などの研究法や統計など、
心理学というフィールドの中で、学ぶことで、日々の仕事にも活かせていきたいなと思います。

向後教授のアドラー講義

早稲田大学 向後教授のアドラー講義が、JMOOCで受講できます。
「しあわせに生きるための心理学〜アドラー心理学入門〜」

アドラーは、「個人心理学」を打ち立て、その影響は、人間性心理学へと継承されているようです。

興味ある方は是非、登録されてください。

反転学習も予定されています。

放送大学の市川教授の講義

市川教授の「学力と学習支援の心理学」が、来週、放送大学で再放送されます。

認知心理学をベースに、学力診断、評価、学習意欲などの概念から数学力や英語力の育て方といった実践的内容までが取り上げられています。
全15回のうち、9回目、「科学的思考力を育てる」では、東京未来大学 小林寛子先生が登場します。

市川先生には、「学ぶ意欲の心理学」の著者があり、学習動機の二要因モデルを提唱されている先生です。

放送時間は仕事しているので、録画します。

小林寛子先生の講義に、興味深々。

中原教授の新刊

アマゾンより、中原教授の新刊のお知らせ。

人事よ、ススメ! ―先進的な企業の「学び」を描く「ラーニングイノベーション論」の12講 (碩学舎ビジネス双書)


慶応丸の内キャンパス、『ラーニングイノベーション論』の講義録。
中原教授が主任講師で、「人材開発の専門知識・スキル」を学ぶことを目的にした社会人向け講座で、中原教授以外にも、
経験学習の 松尾睦教授、
人的資源論の守島基博 教授、
組織行動論の金井壽宏 教授、
知識創造理論の妹尾 大 教授、
の講義のほか、スターバックスサイバーエージェントの事例も紹介。
さっそく予約しました。

心理学は何の役に立つのだろうか?

心理学とはなんぞやと語れるレベルではないので、あくまで、初学者の学びに対する期待感として、理解していただければ幸いです。


心理学の研究は幅広く、脳科学に近いところもあれば、対人関係にフォーカスしたところもあり、恋愛、職場など日常に近い分野でのアンケートを取る、カウンセリングを行うことから発汗の計測といった生理的な指標の計測など検査めいたことをするという、全体を俯瞰すると、そんなイメージを持っています。


臨床心理学、認知心理学、発達心理学、産業心理学、組織心理学、パーソナリティー心理学、行動心理学、感情心理学、社会心理学など、⚪︎⚪︎を付ければ何でも心理学になってしまうのでは?と感じるのですが、

それらすべてに精通する研究者は、果たしていらっしゃるのでしょうか?


ざっぱくにいうと、心理学は、なかなか全体が捉えにくい。

何の役に立つのか、心理学の本を読んだだけでは実感が湧きにくい。


確かに、幅広い研究がされているだけに、自分の経験や日常に近い心理学は存在します。

要は、心理学の中でも、自分の興味、関心に合った心理学を選ぶ、学ぶということになります。


学びには、蓄積された研究を体系的に学ぶことの一方で、自分が研究していくための方法を学ぶこともあります。また、研究の成果を活用する方法を学ぶこともあります。


単に、過去の研究成果を知識として学ぶだけではなく、それがどれだけ実際に確からしいのか確認できたり、自分でも知見を出すことができるようになること、

また、学んだことを実際に日常の中で活用できると、成長したなと感じられるのではないでしょうか?


心理学のカリキュラムを見ると、

⚪︎⚪︎心理学の科目以外に、心理学研究法や心理統計、心理アセスメント、心理療法、カウンセリング演習などの科目があります。

勿論、大学にもよるんでしょうが、

心理学を体系的に学びたい動機は、

そこで得られる学びが実際の生活に役に立つとの期待感とつながっています。

それが資格を取るという、より明確な動機の場合、さらにわかりやすいですが。


私の場合、中間管理職のサラリーマンですが、昨今、ダイバーシティ、両立支援、メンタルヘルスなど、特に、中間管理職に求められる役割は増えていると思います。

また、より部下の生産性を上げることが、今後、さらに求められることと感じます。


そこで、心理学が活用できるんじゃないのかなと。


東京未来大学のモチベーション科学部は、


社会で必要とされる、「組織成員として組織の健全な発展に貢献するモチベーション」、「他者を理解し円滑な対人関係を志向するモチベーション」、「広い関心と学びへのモチベーション」を学び、理解することにより、自己を含め、所属する集団や組織、地域・社会とその成員に対して影響力を与え、活性化を促すことができる人材の養成を目的とする。


と目的を掲げていて、自分の学びたいことに非常に近いと感じているところです。