47歳からの心理学学習帖

週末研究者の研究ノート。キャリアカウンセリングを中心に、心理学、社会学などのトピックを取り上げていきます。過去記事には東京未来大学在籍時の学習ノートをそのまま残しています。

なぜキャリアコンサルタントなのか?

最初、キャリアコンサルタントについて、なぜ、こういう名称なのか、違和感があった。

厚労省としては、日本ではカウンセラーは、心理色が強すぎるからというのが理由のようで、その説明も今ひとつピンとこなかった。

実際、キャリアコンサルタントを取得するには指定の講座を受ける必要がある。その講座の多くは、キャリアカウンセリングを内容にしている。

今でも合点がいくところにはないが、やはりコンサルタントなのかなと感じる。

キャリアコンサルタントには、求職者と職業のマッチング、労働需給の調整が、実際、優先度高く求められるのだろう。カウンセリングはその手段であっても目的にはならない。

だとすると、クライエントの話に耳を傾けながらも、キャリアコンサルタントには傾聴に終始されては困ることになる。そうした勘違いを避けるために、カウンセラーではなく、コンサルタントとしたんではないだろうか?

カリキュラムにも、労働法や労働経済が含まれているのも、心理的な解決だけではない、実際の明確な成果が求められている証拠だと感じる。

だからといって、カウンセリングが不必要なわけはない。カウンセリングは核となる技術だ。

このあたり、書けば書くほど当たり前の話にしかならないので、この辺で。

新しい幸福論

新しい幸福論 (岩波新書)

新しい幸福論 (岩波新書)

今月、橘木俊詔さんの新書が岩波、中公から発売されています。

これまで展開されてきた格差社会論に続く議論だろうとはおもいますが、ピケティを援護として、より具体的、実践的な論調を期待しています。


すみません。まだ読んでません。

読んだら、また、このブログに書きます。


なんだ、それだけか、ということなんですが、今日、書きたかったのは、橘木さんの岩波新書のタイトルに触発されたからなんです。


新しい幸福論。


このタイトルは、やはり、これまでの格差社会論からの新たな展開を期待させます。

日本の経済格差では、ジニ係数を分析の拠りどころとして、格差社会という実態の確認がなされたわけですが、これまでの展開では格差社会の構造が固定化され、金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより貧乏になっていくという、そのカラクリを明らかにしていくことが基調であったと思います。

ただ、マクロ的な経済から見ると、その構造は説得力を持つとして、では、政策を考えたときに経済格差だけに論点をおいていたのでは、なかなか進んでいかないという現実があるのではないか。

それは、富裕層だけでなく、貧困層にも、現状肯定者が存在するからではないのか。

例えば、フリーターニートは、非正規雇用の立場に身を置かざるをえない人もいれば、自ら選択した人もいることが確認されています。

富裕層と貧困層について、経済的な見方では動かしようのない人間の心理がやはり働いている。ただ、この心理は一面で語れるものではないでしょう。


格差社会が実態であり、しかもその格差が拡がっているといっても、では、貧困層は皆不幸なのかとは言えません。幸福という尺度は人それぞれ違うんではなかろうか。逆に、人それぞれの幸福論が、実は格差社会を作り上げているとも想定できるのです。ここには、人は環境から影響されるだけではなく、自ら環境に働きかけ、環境を創造するという仮定に立っています。

貧富からのアプローチとは別に、幸福論について検証し、分析し、構造を明らかにしていく試みが必要です。

そうしたアプローチは、社会学からすでに提出されています。例えば、山田昌弘さんの希望格差社会

ただ、幸福論も本来、経済学の主要テーマであることを思い起こすのなら、橘木さんの今度の新書は、これまでの分析とは違った角度からメスを入れるものではないのだろうか?


読む前に、こんな期待を書いておきたかったのでした。

書店に並ぶのが楽しみです。


格差論について

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

村上龍の小説、最後の家族をきっかけに、格差社会を巡っての議論に興味が湧いて、何冊か読み漁っています。

格差の議論は、2000年代に、経済、社会、教育それぞれから課題が提起され、ジャーナリズムも巻き込んで、○○格差という言葉があちらこちらで飛び出した後は、ここ最近は沈静化していたような趣きがありました。ただ、議論の表向きがそうであっただけのような気もします。ピケティの21世紀の資本があれだけ売れたのも、格差が実感する人が多かったからではないでしょうか。

以下の2冊は、10年ほど前に書かれたものですが、今読むと議論の本質がより鮮明であると思います。


最後の家族(村上龍)を読む

10何年ぶりに、小説を読もうと思い立ち、手に取ったのが、村上龍の最後の家族。


2001年に出版された作品で、社会的ひきこもり、ドメスティックバイオレンスを扱っています。

タイトルにあるように、家族が主題ですが、父、母、兄、妹それぞれの心理描写から同じシーンが多重に語られていきます。


他者の言葉がその語りを聞く者にもたらすインパクトを繊細に描かれているのが印象的です。


この小説を書くにあたり、カウンセラー、精神科医などに取材されたようです。


最後の家族 (幻冬舎文庫)

最後の家族 (幻冬舎文庫)

大学院の説明会に行ってきました

前々から、志望していた大学院の入試説明会に参加してきました。

やはり国立で、かつ、名前のある大学院ということもあり、ざっと見渡したところ、100人は優に超え、ほぼ満席状態。


先生方からはこれまでの研究実績であったり、授業内容、在籍生から時間割や受験の準備などが説明されました。


聞いていて、やはり、問題意識の強さ、この大学院で学びたい思いが大事なんだろうなと感じました。


去年は、110名ほど受験して、24名合格なので、倍率は5倍近い。

さらに、合格者のほとんどが1回の受験で合格している。

ほとんど心理学やカウンセリングの学習経験がなく、大学院受験にあたって勉強したらしいのですが、試験には当然、心理学やカウンセリングの知識は出題されます。

さらに、出願時には志望理由書、研究計画書も提出が求められます。


在籍生の話では、説明会を聞いて受験の準備を始めたという人もいるようです。3か月ほどの受験準備で合格するのは、学習の要領の良さ、論理的思考が備わっていることだけではなく、何かをどうにかしたい、良くしたいという強い問題意識があり、それを研究を通して論文にまとめたいという強い思いがあるからではないかと感じました。


その問題意識もこれまで自分が働き、生きてきた中から育まれてきたものなんだろうなと。


ある先生が、「この大学院では、みなさんがそれぞれ持っているテーマについて研究をしていくお手伝いをわれわれがする」と言われてました。

指導教授の専門分野に合わせて研究をするのではなく、学生それぞれが持つテーマにそれぞれが研究をすすめていくというやり方は、より主体的、積極的にテーマに取り組む姿勢が学生には求められるのと、そのような姿勢を2年間続けていける思いの強さが必要なんでしょう。


とすると、入試で問われているのは、研究を続けていけるかどうか、それに十分な思いの強さがありますか?ということなのかな。




研究計画書、、、

お疲れさまさまです。


大学の授業開始に向け、教科書を揃えたりといった準備と並行して、大学院受験に向けての準備にもそろそろ着手していくかと思っています。

今週末説明会があるので、先ずは、それに出席する予定にしています。

前々から志望していた心理系の大学院で、

社会人にも通学しやすい、

修了後、学会や実務で活躍されている方が多い、

自分の関心に近い先生が多い、

と考えています。


研究計画書を提出しないといけないので、その準備を始めたところです。



新年度が始まりました

新年度ですね。

会社も、大学も。


自分には目立った変化はなくても、

周りが変わると、

気はそわそわしてきます。


体制が変わる、あの人は今度どこそこに行くなどのウワサは、2月くらいから、飛び交うものですが、実際に、4月が近づいてくるにしたがい、気張り、ため息、落胆、疑念などで、周りの雰囲気も落ち着かない状態になってきます。

その混沌状態のなか、どうスタートダッシュを切るのかというのが大事。


さて、大学のほうも、新たに科目登録が始まっています。

私は、昨日、登録して、教科書もアマゾンで注文しました。

こちらもスタートダッシュです。


3年次の学習 総括

科目ごとにざっくり、カンタンに振り返ってみると、割と基礎的な分野で大学での学びを探っていた春学期に比較し、秋学期は主に対人心理学とカウンセリングに関心を向けていて、それに沿った科目を選択していました。

自分の関心あることに集中していたのが秋学期。

面白い、というのが率直な感想。


さて、今週、1日からは新年度の科目登録が始まります。

モチベーション行動科学部は、心理、経営、教育の分野ごとに必須単位があります。

1年目は、4分の3が心理での履修でした。

2年目は、春学期で卒業単位の充足を目指したいと思います。


3年次の学習 その26 パーソナリティ心理学

テキスト科目。

性格心理学。

人の性格は遺伝によるのか、環境によるのかという議論もあるが、パーソナリティの語源のペルソナが仮面を意味するように、性格は時に見定めが難しい。

場所によって、人によって、行動や態度も変わると考えるのが自然なのかもしれない。

パーソナリティへのアプローチは、いろいろなやり方があり、社会心理学、発達心理学、臨床心理学、教育心理学など多くの分野にまたがる。


という意味では、パーソナリティという視点から心理学全体を俯瞰することもできる科目なので、もっと早めに受講しておいても良かった、かもしれない。




3年次の学習 その25 キャリアカウンセリング

テキスト科目。

キャリア理論、カウンセリング理論、カウンセリングのプロセス、面接技法メンタルヘルスなどを学ぶ。

キャリアカウンセリングの概要を把握できた。

元々、カウンセリングは、職業指導から始まったものであり、産業革命をきっかけに都市に放り出された若年層の就業支援がその源流。以来、社会や経済の変動の中で発展してきた。そうした背景を考えると、ただ悩みを解決したり、精神疾患を治すだけがカウンセリングではないことが理解できる。

また、傾聴=カウンセリングではないこともよくわかる。


3年次の学習 その24 教育カウンセリング

テキスト科目。

教育カウンセラー資格の概論が教科書。

この著者は國分吉孝先生。

國分先生のカウンセリング論と合わせて学習。

教育カウンセリングというよりは、國分先生のカウンセリング論に個人的には興味があったので、カウンセリングってなに?という点について整理を進められたのは良かった。

3年次の学習 その23 コーチング

テキスト科目。

コーチングの基本的な教科書を中心に、質問技法やプロセスを学びます。

かつて会社の研修で受けたので、コーチングじたいしらないわけではありませんでした。

やはり、コミュニケーションスキルなので、実際に試してみることが必要だと思います。


3年次の学習 その22 カウンセリング演習

スクーリング科目です。


ここでは、ロジャーズのクライエント中心療法をロールプレイングなどを通じて学びます。

心理療法もそうでしたが、ロールプレイングはクライエント、カウンセラー、オブザーバーの3者入れ替わりで行われます。

カウンセラー役になったときだけでなく、クライエント役、またオブザーバー役と立場を変えながら経験したことは気づきも多く、かなり興味深かった。


私はカウンセリングの素人ですが、素人は素人なりにカウンセリングに対するイメージをもっていて、時に、それが邪魔をすることがある。カウンセラーはこうすべきだという思い込みが現れたりする。例えば、初めて会ったクライエントの悩みを10分かそこらで解決してあげないといけないと考えたり。でもこれって不自然。

この授業で学んだのは、この何が何でも解決に急ごうとする過ち。

クライエントとの関係づくりを何よりも優先することの大事さ。

ロジャーズの3条件。